物性データ

表示している値には、すべて出典と確認日を付けています。「確定」「傾向」「諸説あり」は、 その値がどれくらい固い根拠にもとづくかの区別です。

ナイロンを知る

まとわりつきは、帯電列の「距離」が見えている現象

冬にストッキングがコートの裏地にまとわりつく、脱いだセーターに下着がついてくる——あれは、こすれ合った二つのものが電子をやりとりして、それぞれ反対の電気を帯びるために起きます。帯電列は、この帯びやすさの順に繊維を並べたものです。列の上で離れた位置にある素材どうしがこすれるほど、静電気は強く起きやすい傾向があります。

ナイロンは、この列でプラス側に置かれる繊維です。だからマイナス側の端にいるポリエステルやアクリルと組み合わせると、離れた組み合わせになります。同じ理屈で、同じくプラス側にいるウールと重ねた場合は近い組み合わせになります。

ナイロンは、本当は商品名だった

日本化学繊維協会の解説によれば、ナイロンは本来は登録商標名でしたが、現在ではポリアミド系繊維の総称として定着しています。同協会は、1935年に米国デュポン社のカロザースが合成に成功し、1939年にナイロンストッキングが発売されたこと、そのときのキャッチフレーズが「石炭と水と空気から作られ、鋼鉄よりも強く、クモの糸より細い」だったことを紹介しています。

一方、東京都クリーニング生活衛生同業組合の解説では、1938年に工業化されたころのキャッチコピーとして「石炭と空気から作られ、鋼鉄よりも強く、蜘蛛の糸よりも細く、絹糸よりも弾力があり、光り輝く繊維」が挙げられています。年と文言の細部は資料によって少しずつ違います。本サイトはどちらかを正解として断定せず、両方の記述をそのまま示しておきます。

ナイロン6とナイロン66

衣料用のナイロンには主にナイロン6とナイロン66があります。同協会によれば、この数字は原料の炭素原子の数に由来し、カロザースが合成したのはナイロン66、ナイロン6は1941年に日本で開発されました。同組合の解説では、ナイロン66は耐熱性に優れ、ナイロン6はコスト面で有利なため、日本で生産量が多いのはナイロン6だとされています。タイヤコードや漁網、ロープのように強さと耐熱性が要るところではナイロン66が使われます。

長所と短所は、同じ性質の裏表

同組合が挙げるナイロンの長所は、繊維のなかでも最高クラスの軽さ、摩擦への強さ、弾力性があってシワになりにくいこと、乾きの速さ、薬品や油への強さ、虫やカビへの強さです。短所は、紫外線で黄変して強度が下がること、吸水性や吸湿性がないので発汗時にベタつくこと、静電気が帯電しやすいこと、熱に弱いことです。

「吸水性がない」は「乾くのが速い」と同じことを別の側から言っているだけで、レインウェアやアウターシェルではむしろ長所になります。

お手入れは、紫外線と高温に気をつける

同組合は、ナイロンの大敵は紫外線だとして、直射日光に当てず室内や日陰で乾かすことを勧めています。乾くのが速いので室内干しでも短時間で乾きます。もう一つは高温で、タバコやストーブのような高温のものは接触していなくても近づいただけで溶けることがあるとされています。アイロン可の表示がある製品でも、設定は低温にするよう書かれています。これは合成繊維全般に共通する注意です。

タグでの書かれ方

消費者庁の指定用語表では、ナイロン繊維の指定用語は「ナイロン」「NYLON」です。ナイロン6とナイロン66の区別は組成表示には出てこないので、タグを見ただけではどちらかは分かりません。

向いている服・気をつけたい場面

軽さと強さが効くアウターシェル、バッグ、レッグウェアが得意分野です。乾燥した季節の重ね着では、相手の素材によって結果が大きく変わります。同じナイロンのインナーでも、上にウールを着るのかポリエステルのフリースを着るのかで話が変わる、というのがこの繊維のおもしろいところです。チェッカーで実際の組み合わせを確かめてみてください。

ほかの素材と重ねたときの静電気の傾向

帯電列の上で離れた素材どうしがこすれるほど、静電気は起きやすい傾向があります。この表は2枚を重ねたときの目安です。3枚以上の重ね着は、チェッカーで全部の組み合わせを見て判定できます。

重ねる素材静電気の傾向
綿中間資料により見解が分かれます
麻(リネン)中間資料により見解が分かれます
ウール起きにくい傾向資料により見解が分かれます
カシミヤ起きにくい傾向資料により見解が分かれます
シルク起きにくい傾向資料により見解が分かれます
レーヨン中間資料により見解が分かれます
キュプラ中間資料により見解が分かれます
モダール中間資料により見解が分かれます
リヨセル中間資料により見解が分かれます
ポリエステル起きやすい傾向資料により見解が分かれます
アクリル起きやすい傾向資料により見解が分かれます
ダウン(羽毛)起きにくい傾向資料により見解が分かれます

点数や順位は出していません。帯電列は資料によって並びが変わることがあり、精密な点数として扱える性質のものではないためです。

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